こんばんは。
納期が遅れていたセカンドロットのヴォードビルが4月上旬にやっと届きました。昨今の馬革の需要に供給が間に合ってない状態がかなりひどいようですね。あと値上げも。原皮が入って来ないのでタンナーの新喜皮革さんから革が中々上がって来なかったそうで3ヶ月程遅れてました。工房の方は浅草の1社に統一して生産性上がってスポルティフも大丈夫みたいですけどね。まぁ各社、革ジャンの納期も大変な事になってるようなので3ヶ月で済んでよかったと思う事にします。
ではヴォードビルを知らない人は下のオフィシャルをどうぞ。
The 2 Monkeys VAUDEVILLE【TM83933】jelado.com
スポルティフ記事のように目次を作りました。タップで飛べますのでどうぞ。
今回色々やってたら長くなったので2回に分けてます。
詳細
カラーはオークブラウン。スポルティフはサイズ7と6.5のサンプルをポーキーズに送ってもらって悩みましたが、プレーンなら大丈夫だろうと言う事で試着なしで同サイズです。
普通のラウンドキャップトゥブーツっぽいのに古臭い特徴がある私好みのブーツ。
100年前のサービスシューズと少し似てます。
横から見ると色々わかります、まさに2モンキーズの世界観。
発売後、半年経ってますけど改めて詳しく説明して行きます。初体験の作りが結構有りましたので。
色味はマルーンです。紫がかった濃い茶色で、関西人なら阪急電車の色、革ジャン好きならレインボーの昔のA-2のマルーンと言えばわかるかと。比較はホワイツのドレスブラウン(シールブラウン)。
爪先は丸みのある木型で少しマンソンラストに似てます。100年前はこんなおでこ靴多いですからね。真ん中にラインが入って膨らみがあるんですが、これがなかなか粋で大好物です。トゥキャップは小さめ。
正面から見ると盛り上がりが良くわかります。全体的ではなく真ん中だけなので栗の実のようになっています。
横からだとこんな感じ。
コバは極力内側を縫ってその外側だけ目打ち仕様。これはかなりの技術いるんじゃないでしょうか?初めて見ました。
ホワイツのスウィングラストと比べるとだいぶ小さいトゥキャップ。
踵のヒールカップ上に腰革をもう1枚縫い付けてありますが、これが1番の特徴で切りっぱなしで紫がかった断面が見えるのも効いてます。ステッチのダブルがここまで細いのも初めて見ました。
鳩目の外側のステッチがありませんねぇ。
それはライニング(これも馬革)が端まであるからですね。短靴では普通ですがブーツでは珍しい古い仕様です。これも初めて。
普通はこの様に見返し仕様になってるので外側にもステッチが走ります。見返し分の厚みとステッチが無いので皺の入り方やフィット感等、履き心地も変わってくるでしょうね。
タンの両サイドの縫い合わせがない短靴仕様。これもブーツでは初めてで、足入れはしやすいけど前に動きますね。革はアッパーと同じ。
タン裏にもライニングあり。革が薄いので補強がいるんでしょう。ソックシートのロゴが変わってます。
腰革が一周しているので踵を覆う当て革はなしでプルトップあり。この仕様も初めてですね。横から撮るの忘れましたが、踵のラインもくびれてます。
スポルティフから続くグッドイヤー&マッケイ製法。グッドイヤーが終わった所の角ばりからのくびれが相変わらずのエロさ。勿論フィット感とホールド感もグッド。
スポルティフとの違い
では同じ2モンキーズのスポルティフ(バケッタレザー版)との比較。
5アイレットに4フックで色は黒。脱ぎ履きはしやすいですけど紐締めるのは少し時間掛かりますね。羽根の履き口の所(上のフック2つの辺り)の角度、カッティングも違います。アイレットが大きくなってフックも変わってますがスポルティフも今はこれになってます。
あと、ステッチのピッチが細かく殆どギリギリの際を縫ってます。これは作ってる所が違うんですね。
爪先の高さとコバの違い。
コバは結構な違いが。ヴォードビルの深いギザギザ目打ちはデザイン的に合ってると思いますね。
踵の作りの違い。ハイトは同じで踵の小ささも同じ。
上から。ヴォードビルの方が羽根が少し長いですね。やはり鳩目外側のステッチがないのがシンプルで良いです。
底。
ラスト違いますがコバの出っ張りを極力抑えてグッドイヤー部分も短くなってますね。くびれはさらに10ミリ細くなってるので踵の形状も変わってます。マッケイステッチの横にも目打ちが!半分見えないのに拘ってますね。
作ってる所が同じになったので、スポルティフも今年の春モデルからこのヴォードビル仕様になってます。重さは微妙にヴォードビルの方が軽く感じますけど、共に軽快なブーツです。
スポルティフの詳細はこちら。
履き下ろし
では足入れましょう。
履きました。爪先の丸みと広さはこれぐらいならOK。1年履きのスポルティフと比べると履き口と指先は少し広く、甲は少し低いです。土踏まず辺りは確かに細くなってますけどそのお陰でホールド感はアップしてます。
羽根からトゥキャップまでの距離が結構あるのも見た目良いですね。
皺入れ中。
革はだいぶ薄く柔らかいけど芯が入ってる感じで吸い付いてきます。これは良い革だし良いブーツですね。
履き姿
爪先の膨らみはそこまで主張せず、光りの加減でラインが見えて見た目も丁度良い感じ。結構ナローな木型ですね。この作り、この革、木型、プレーン(キャップ)トゥはほぼ完璧な組み合わせで履き心地も文句なし。ニヤけてきますね。
全く痛くなく、気持ちいいくらいのくるぶし。ここに入る皺も面白そうです。この皺を見たら革の柔らかさの奥に粘り気があるのがわかるでしょうか、いい意味で足に絡み付いてくる革に包み込まれてます。
では前編はここまで。後編は比較と経年変化を中心に書いて行きます。間に革ジャンを挟みますけどね。
ここでニュース!
【Lightning30周年企画】The 2 Monkeys × Lightning VAUDEVILLE BOOTS "Black Colts‟club-lightning.com
別注きてました。
いやぁ、大満足の出来でしたよ。